【なぜ相続は揉めるのか⑥】実家を継ぐ人、継がない人|「分けられない財産」が家族を悩ませる理由
というテーマで、介護の負担が相続に与える影響について考えました。
前回は、
「介護した人としていない人」
というテーマで、介護の負担が相続に与える影響について考えました。
今回は、相続相談で必ずと言ってよいほど話題になる
「実家や土地などの不動産」
について取り上げます。
預貯金であれば金額を計算して分けることができますが、不動産はそうはいきません。
住み続けたい人もいれば、売却して現金化したい人もいます。
さらに、思い出の詰まった実家という感情的な価値も加わるため、話し合いが難しくなることがあります。
今回は、「実家を継ぐ人」と「継がない人」の立場の違いを通して、不動産相続がなぜ難しいのかを考えてみましょう。
目次
1.不動産は「分ける」ことが難しい財産

相続財産にはさまざまな種類がありますが、その中でも最も調整が難しいものの一つが不動産です。
現金であれば、人数に応じて分割できます。
しかし、一軒の家や一筆の土地は、同じように分けることができません。
そのため、
という選択を迫られます。
どの方法にもメリットと課題があり、家族全員が同じ考えになるとは限りません。
2.実家を引き継ぐ人が抱える責任

実家を相続する人は、財産を受け取るだけではありません。
その後の管理や維持という責任も引き継ぐことになります。
建物の修繕。
固定資産税の支払い。
庭木の手入れ。
近隣との付き合い。
場合によっては、お墓や仏壇の管理まで任されることもあります。
そのため、
「家を相続したから得をしている。」
と単純には言えないケースもあります。
住み慣れた家を守りたいという気持ちと、将来の負担との間で悩む方も少なくありません。
3.実家を取得しない人が求める公平性

一方、実家を取得しない相続人には別の視点があります。
実家に住む予定もなく、管理に関わることもないのであれば、
「不動産を売却して現金で分けた方が公平ではないか。」
と考えることがあります。
また、
「一人だけ高額な財産を取得するように見える。」
という印象を持つ場合もあります。
実際には、維持費や管理の負担がありますが、その負担は外からは見えにくいものです。
お互いが相手の事情を十分に理解できないまま話し合いを進めると、不満だけが残ってしまうことがあります。
4.不動産の価値は人によって変わる

同じ土地や建物でも、その価値は人によって異なります。
長年暮らしてきた人にとっては、家族との思い出が詰まった大切な場所です。
一方で、遠方に住む兄弟姉妹にとっては、
「使う予定のない資産」
という見方になることもあります。
さらに、不動産会社が評価する市場価格と、実際に売却できる価格が一致するとは限りません。
感情的な価値、経済的な価値、利用価値。
これらが一致しないことが、不動産相続を難しくしている理由の一つです。
5.空き家と共有名義が新たな問題を生む

話し合いがまとまらないまま相続が終わると、
実家が空き家のまま放置されるケースがあります。
誰も住まない家でも、
管理や修繕は必要です。
さらに、共有名義にした場合、
売却や建て替えなどの重要な判断には共有者同士の調整が必要になることがあります。
年月が経つにつれ相続人が増え、意思決定が難しくなるケースも珍しくありません。
現在は問題がなくても、
将来、子や孫の世代にまで影響が及ぶ可能性があります。
だからこそ、不動産は「今」だけでなく「次の世代」まで見据えて考える必要があります。
6.不動産相続で後悔しないための準備

不動産相続では、親が元気なうちに方向性を整理しておくことが何より重要です。
例えば、
こうした点を家族で共有しておけば、相続発生後の混乱を減らすことができます。
相続対策とは、財産を残すことだけではありません。
残された家族が困らない仕組みをつくることでもあるのです。
7.まとめ

不動産は、お金のように自由に分けられる財産ではありません。
だからこそ、
それぞれの立場によって考え方が大きく変わります。
また、
といった様々な要素が重なり、相続をより複雑にします。
大切なのは、「家を誰が取得するか」だけではなく、その後の管理や将来まで見据えた話し合いを行うことです。
親が元気なうちから家族で方向性を共有することが、円満な不動産相続につながります。
次回は、
「遺言書があっても揉める家族」
というテーマで、「遺言書さえあれば安心」という思い込みが、なぜ通用しないことがあるのかを考えていきます。
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実家や土地は、ご家族の思い出であると同時に、大切な資産です。将来のトラブルを防ぐためにも、早めの準備についてお気軽にご相談ください。

というテーマで、介護の負担が相続に与える影響について考えました。
相続で生まれる不公平感や、長男・長女という役割意識についてお話ししてきました。
「親は平等のつもりでも、子どもは不公平だと感じることがある」
相続の争いは、財産の金額だけが原因ではなく、それまで積み重ねてきた家族の関係や感情が大きく影響します。