【なぜ相続は揉めるのか⑥】実家を継ぐ人、継がない人|「分けられない財産」が家族を悩ませる理由
というテーマで、介護の負担が相続に与える影響について考えました。
2024年4月から相続登記が義務化されました。
全国共通の制度ではありますが、直島町では他の地域とは異なる事情があります。
世界的なアートの島として知られる直島では、不動産は単なる「家」や「土地」ではありません。観光資源としての価値や、将来的な活用可能性を秘めた大切な資産でもあります。
一方で、高齢化や島外に住む子ども世代の増加により、相続手続きは以前より複雑になっています。
「まだ元気だから大丈夫」
そう考えている間にも、家族が将来困る原因は少しずつ積み重なっています。
今回は、直島町だからこそ必要となる生前対策について詳しく解説します。
目次
1.相続登記義務化で何が変わったのか

2024年4月1日から、不動産を相続した人は、その事実を知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務となりました。
これまで相続登記は任意でしたが、現在は正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性があります。
しかし、本当に問題なのは過料ではありません。
相続登記をしないまま放置すると、
など、不動産そのものが「動かせない資産」になってしまいます。
つまり、不動産が塩漬け状態となり、家族全員が困ることになるのです。
2.なぜ直島町では生前対策が重要なのか

直島町には全国とは少し違う特徴があります。
(1)子ども世代が島外に住んでいる
現在では東京・大阪・岡山など島外で生活している子どもも珍しくありません。
相続が発生すると、
などを遠距離で行う必要があります。
何度も島へ帰ることは時間的にも経済的にも大きな負担になります。
(2)不動産価値が特殊
直島は世界中から観光客が訪れるアートの島です。
そのため、
などは一般的な固定資産評価額よりも高い市場価値を持つことがあります。
兄弟間でも、
「売れば高くなる」
「管理が大変だから早く処分したい」
など意見が分かれやすくなります。
(3)昔の名義が残っている土地も多い
島では祖父や曾祖父名義のままになっている土地も少なくありません。
このような場合、
相続人を何世代にもさかのぼって調査しなければならず、
場合によっては面識のない親族全員の協力が必要になります。
これが相続をより複雑にしています。
3.直島ならではの相続リスク

直島では、
「家族だけの問題」
だった相続が、
「地域全体の問題」
へ発展するケースがあります。
相続手続きが進まず空き家になると、
など地域全体にも影響します。
さらに、空き家が増えることで地域活力も低下してしまいます。
つまり、生前対策は家族だけではなく、島の未来を守る取り組みでもあるのです。
4.生前対策の3つの方法

(1)遺言書
もっとも基本となる対策です。
誰に何を相続させるかを明確にできるため、相続手続きがスムーズになります。
ただし、配偶者や子どもには「遺留分」があるため、遺言だけですべての争いを防げるわけではありません。
家族全体の理解を得ながら作成することが大切です。
(2)生前贈与
元気なうちに財産を移転する方法です。
相続開始後の手続きは不要になりますが、
など税金面の検討が必要です。
直島のように市場価値が特殊な地域では、専門家による試算が欠かせません。
(3)家族信託
近年注目されている制度です。
家族信託では、
「財産の所有」
ではなく、
「財産を管理する権限」
を信頼できる家族へ託します。
例えば、
親が元気なうちに長男へ管理権限を移しておけば、
将来認知症になったとしても、
などを契約内容に沿って継続できます。
遠方に住む家族が島の不動産を管理する仕組みとして、直島町との相性が非常に良い制度と言えるでしょう。
5.空き家問題を地域資産へ変える考え方

直島の魅力は、アートと地域が共存していることです。
だからこそ、相続した空き家は「負の財産」と決めつける必要はありません。
例えば、
など、新たな価値を生み出せる可能性があります。
相続とは財産を受け継ぐだけではありません。
地域の景観や文化、そして島の未来を次世代へ引き継ぐことでもあります。
その視点を持つことで、生前対策の意味はさらに大きくなるでしょう。
6.まとめ

直島町の相続問題は、単なる法律の問題ではありません。
島外に住む家族、高齢化、空き家問題、そしてアートの島という地域特性が複雑に重なり合っています。
だからこそ、
「まだ元気だから」
ではなく、
元気な今だからこそ始められる対策があります。
まずは、
この3つから始めてみてください。
早めの準備が、ご家族の負担を減らし、大切な財産と直島の未来を守る第一歩になります。
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相続で生まれる不公平感や、長男・長女という役割意識についてお話ししてきました。
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