【なぜ相続は揉めるのか③】親は「平等」のつもりでも子どもは「不公平」と感じる|相続で争族になる本当の理由

2026年09月06日

「仲の良い兄弟姉妹でも相続で対立してしまう理由」

についてご紹介しました。

相続の争いは、財産の金額だけが原因ではなく、それまで積み重ねてきた家族の関係や感情が大きく影響します。

今回は、その中でも相談現場で非常に多く見られる

「不公平だと感じる気持ち」

をテーマに取り上げます。

ご相談者からは、

「子どもには同じように接してきたつもりです。」

という言葉をよく耳にします。

しかし、親がそう考えていても、子ども全員が同じように受け止めているとは限りません。

相続では、この認識の違いが思わぬ対立につながることがあります。

目次

  1. 平等と公平は似ているようで違う
  2. 親の思いと子どもの受け止め方
  3. 子どもは何に「不公平」を感じるのか
  4. 介護が相続に与える影響
  5. 生前の援助が相続問題になる理由
  6. 家族が納得できる相続にするために
  7. まとめ 

1.平等と公平は似ているようで違う

相続の話になると、

「財産を同じ割合で分ければ揉めませんよね。」

という質問をいただくことがあります。

確かに、法律では法定相続分という一つの目安があります。

しかし、家族の問題は法律だけでは解決できません。

人は単純に「同じ」であることより、

「自分はきちんと評価された」

と感じられるかどうかを重視します。

例えば職場でも、全員に同じ評価を与えられるより、それぞれの努力や事情が反映された評価の方が納得しやすいものです。

相続も同じで、「均等」と「納得」は必ずしも一致しません。

2.親の思いと子どもの受け止め方

親にとって子どもは皆かけがえのない存在です。

だからこそ、

「最後は同じだけ残してあげたい」

という思いを持つ方は少なくありません。

その考え方は決して間違いではありません。

ただ、親が見ているのは"今"の家族です。

一方で子どもたちは、

これまで何十年にもわたる家族との関わりを振り返っています。

幼い頃の出来事、進学、就職、結婚、親との関係…。

それぞれ違う経験を積み重ねてきた結果、

同じ相続でも受け止め方は大きく異なることがあります。

3.子どもは何に「不公平」を感じるのか

相続の相談では、次のような声を耳にします。

  • 「兄だけ大学進学を支援してもらった。」
  • 「妹は結婚するときに多額の援助を受けた。」
  • 「私は親に頼らず頑張ってきた。」

これらは必ずしも高額な財産の話とは限りません。

重要なのは、

本人が長年抱えてきた思い

です。

例えば、

  • 学費の援助
  • 結婚資金
  • マイホーム購入資金
  • 事業資金
  • 孫への教育費

こうした出来事は、親にとっては「家族を助けた」という記憶でも、受け取らなかった兄弟姉妹には「差をつけられた」という記憶として残ることがあります。

相続は、そうした記憶が一気に表面化する場面でもあるのです。

4.介護が相続に与える影響

近年、相続相談で特に増えているテーマが介護です。

例えば、

親と同居していた子どもが長年介護を担っていたケース。

毎日の通院、買い物、食事の世話、施設探し…。

介護には時間だけでなく、精神的・経済的な負担も伴います。

介護を担った側は、

「親を支え続けたのだから、その努力も考慮してほしい。」

と考えることがあります。

一方で、遠方に住んでいた兄弟姉妹は、

「介護への感謝はあるが、財産は公平に分けるべきだ。」

と考えることもあります。

どちらにも一定の理由があります。

だからこそ、お互いの考えがぶつかりやすいのです。

5.生前の援助が相続問題になる理由

親は困っている子どもを見ると助けたくなるものです。

住宅取得を支援したり、

開業資金を援助したり、

教育費を負担したりすることもあるでしょう。

その時点では、

「家族だから当然」

と思っていたことでも、

相続が始まると違った意味を持つことがあります。

援助を受けなかった兄弟姉妹から見ると、

「最初から差があったのではないか。」

という疑問につながることもあります。

親に悪意がなくても、

説明が十分でなければ誤解を招く可能性があります。

善意で行った行動ほど、後になって思わぬ火種になることも少なくありません。

6.家族が納得できる相続にするために

相続対策というと、

遺言書や節税対策を思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、それらも大切です。

しかし、それ以上に重要なのは、

「なぜ、そのような分け方にしたのか」を家族に伝えることです。

例えば、

  • 介護への感謝を形にしたかった。
  • 生前の援助には事情があった。
  • 家族全員の生活を考えた結果だった。

こうした思いを事前に伝えておくことで、

相続後の受け止め方は大きく変わります。

人は理由が分からないと不満を抱きやすくなりますが、

背景を理解できれば、必ずしも全員が同じ結論でなくても納得できることがあります。

相続とは、財産を分ける手続きであると同時に、

家族の思いを受け継ぐ機会でもあるのです。

7.まとめ

相続では、「同じ割合で分ければ安心」という考えだけでは十分とはいえません。

子どもたちは、それぞれ異なる人生を歩み、それぞれ異なる経験や感情を抱えています。

そのため、不公平感の背景には、

  • 幼い頃からの家族関係
  • 生前の経済的援助
  • 長年の介護負担
  • 積み重ねられた感情

といった様々な要素が存在します。

本当に大切なのは、財産を均等に分けることだけではなく、

「家族がその理由を理解し、納得できる相続」を目指すことです。

そのためには、元気なうちから家族と話し合い、自分の考えを伝え、必要に応じて遺言書などを活用することが重要になります。

次回は、

「長男・長女だから当然」という価値観は本当に終わったのか

というテーマで、現代にも残る家族の役割意識と相続トラブルとの関係について考えていきます。

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あいりす相続らじお

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